大郷粕川を元気にする協議会

実証活動

トップ実証活動大豆ミートの可能性

大豆ミートの可能性



なぜ『大豆ミート』に関心を持つのか?


【マクロの視点】
 背景には世界の食糧事情があります。現在80億人近くが地球で生活を営んでいます。しかし、2050年には約98億人になると推計されております。地球人を養うためには、トウモロコシ、米、小麦、大豆の四大作物の生産量が重要なカギとなっており、生産増加率は1%前後(世界平均)に過ぎません。
 2050年に予測される四大作物の需要量は2005年の約2倍で、そのためにはこれらの生産増加率を2倍にしなければなりません。
 このため、遺伝子組換え、ゲノム編集等の新技術により食糧不足を克服しようとしております。特に、遺伝子組換え作物(GM作物)は1996年以降栽培面積も右肩上がりに増加し、1996年に170万haであったものが、2017年には1億8980万haに爆発的(約20年で110倍強)に増加しております。発展途上国19か国、先進国5か国の24か国で栽培されております。大豆栽培面積の77%、トウモロコシでは32%が遺伝子組換え作物となっております。
 人口増加に伴い、魚肉、畜肉食が増加し、供給不足が問題視される中、動物由来食品の環境影響において、飼料作物生産のための土地利用、水利用、地球温暖化へ影響する温室ガス排出量の増加が指摘されております。
 持続可能な社会及び食料安定供給の観点から動物たん白質に代わる素材の一つとして大豆が注目されております。ちなみに、大豆は生産エネルギー効率(kcal output/kcal input)が牛肉生産の約65倍であり地球環境への負荷の少ないことがわかります。

【我が国の食の視点】
 我が国は古来より大豆、米を植物たん白質として生活の食に浸透しております。玄米食から白米食になって以来植物たん白質はほとんどが大豆たんぱく質です。大豆は、20%が油脂、35%がたん白質で構成されております。
 世界的に見てみますと、2014年では生産量の13%が豆乳、豆腐、味噌等直接的に食されますが、残りの87%は搾油用途で利用され更に搾油粕の98%が飼料に供されております。 この搾油粕の食品用途の拡大が環境問題や人口増加に向けて大きなカギとなっているのです。

〔引用文献〕
日本食品科学工学会誌 第67巻 第12号 (2020年12月)
総説 「植物蛋白質による動物蛋白質代替の動向」
・山本和貴(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門)
・釘宮 渉(不二製油グループ本社株式会社)
・前田裕一(不二製油グループ本社株式会社)
・矢野裕之(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門)
・楠本憲一(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門)
・鍋谷浩志(東京家政大学家政学部)
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門)

【令和4年度の活動内容】
①企業アドバイザー受講研修(3回)
②情報収集・食材調査(委託)




大豆ミートの流通






大豆ミートの試食会の結果について


 令和4年12月13日に、大郷道の駅に隣接する調理実習室をお借りして協議会の構成メンバーに加え中粕川集落をはじめとする地域の方々にも参加いただき「これが大豆ミートだ!」と銘打って大試食会を開催しました。
 大豆ミート製品は原材料である大豆を加工して、ミンチ状のもの、粉、ブロック、パスタ風と様々な形に変化しております。
 試食については、それぞれの形状のものをそのままボイルしたものと調理したものの味比べを中心にアンケート用紙に各人が記入するという方法で行いました。
以下にその結果を示します。

 以上のアンケート調査から分かったことは、
➀ミンチにせよブロックにせよ、いったん⽔に浸らせて⽔分を含ませることで、在来の素材である⼤⾖の⾹りが感じられるが、そんなに癖のある素材とは思わないようです。
②ミンチ状の⼤⾖ミートを調理すると(ドライカレー)調味料や⾹⾟料で全く違和感なく⾷することができ、ひき⾁よりもジューシーで料理のバリエーションが広がることが分か りました。
③今回ブロック状の素材は蒲焼で調理したのですが油で揚げて照り焼き状にするので相性が良く⾁質で違和感なく⾷することができました。
④パスタは違和感持つ⽅が多かったのですが、ぼそぼそしているとの評価で課題がありそうです。
⑤パンケーキは好評でした。粉状にすると⽶粉との競合が考えられるのでぱさぱさ感が否めないので⽶粉とブレンドするなど改良の道があると思います。
⑥課題は価格です。今後⾁に代わる新たな⼤⾖利⽤の展望が期待できると思います。
 今回の試⾷会は、⼤⾖ミートの可能性を検討するため、当協議会のアドバイザーであり、フードコーディネーター、薬膳料理教室主宰の佐藤愛さんの指導の下で実施しました。

以上